里づくりだより

希望燃ゆ 諏訪の里 [第30回] こらむ 勝名寺の二台の「乗物」

2022年08月31日

乗物(のりもの) 居住性、装飾性が高められ、側面に戸が取り付けられている駕籠は、特に「乗物」と呼ばれ、身分の高い者が用いた。

修復された二台の乗物 勝名寺に、二台の「乗物(のりもの)」が残されている。二台とも塗装や布などに経年による劣化が激しく、木地も虫食いなどで損傷が著しかった。  
勝名寺は、2013(平成25)年6月~12月に、「本堂・庫裡改修工事」を行った。改修工事にあたり本堂廊下に吊り下げられていた二台の乗物は、建設会社の倉庫に一時移転格納され、いずれは廃棄が計画されていた。しかしながら、工事の落慶を機に、第17世住職釋智榮は「乗物」の修復を決断した。修復は、強度が低下している木地の取り替え、塗を新たに施し、装飾具などを一新するなどを行って、2015(平成27)年6月に完成した。

朱塗りの乗物 網代張り、朱塗りの「乗物」は、第11世住職釋円成が使用したものである。「乗物」の前後に、勝名寺の家紋「左三ツ藤巴紋」が付けられている。乗用部分は、網代(あじろ)張り、朱塗り、側面の引戸、柄は黒塗りである。「勝名寺系譜」には、1803(享和3)年に勝名寺第11世住職釋円成が「一代限り乗物を許可」されたと記されている。
下部;長さ110cm×幅80cm 上部;110cm×50cm
 
高さ;90cm       担棒;440cm

 

 

青色の乗物 勝名寺への嫁入りに際して花嫁が乗ってきたものと言われている。前後には、「双鶴紋」が付けられている。外装は別珍(=綿ビロード)仕様、青色である。
勝名寺系譜から、この「乗物」は、幕末から明治時代初期にかけて使用されたものである。「別珍」(綿ビロードvelvetee)は、1917(大正6)年に東京の松井良輔が商標として用いて以来,通称名となったといわれる。
・下部;長さ110cm×幅73cm 上部110cm×50cm
 
高さ;90cm       担棒;440cm

 

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